秘密の線路！? #ワンマン車掌

2021.08.25 - ワンマン車掌の鉄分乗々↑↑

今日も鉄分上がっちゃう話をお届けします！

ワンマン車掌の鉄分乗々↑↑

今日は・・

「秘密の線路！？」

です。

神奈川県には多くの路線がありますが、実はGoogleマップには載っていない「秘密の線路」があるって知っていますか!?というわけで実際に見てみましょう！用意するのは「Googleマップ」と「Yahoo!地図」です。

GoogleマップでJR南武線の「武蔵中原駅」と検索し、中心点は動かさずに縮尺を小さくします。目安は、隣の武蔵小杉駅や武蔵新城駅が見えるくらいです。

すると、川崎市中原区の大半が見渡せる地図になったかと思います。表示されている鉄道の線路といえば、南武線と武蔵小杉駅付近の東急線や東海道新幹線や横須賀線くらいです。ところが、Yahoo!地図で同じようにすると・・・

地図の中心付近を横切るように、薄いグレーの点線で鉄道のトンネルが通っていると表示されています。この点線、通称「武蔵野貨物線」という貨物専用の路線なんです！というのも、Googleマップは、お客さんを乗せて走る普通の路線は表示されるのですが、縮尺をかなり大きくした時などを除き、お客さんを直接乗せる事が無い貨物線などは表示されない事が多いのです。

武蔵野線は、千葉県の西船橋から新松戸、南浦和、新座などを通り、都心に対し弧を描くように走る路線です。その歴史は、他のJR線に比べると比較的浅く、完成したのは1970年代後半。なお、お客さんを乗せての営業は西船橋から府中本町までですが、線路は府中本町以降も続き、多摩川を渡って稲城、生田、梶ヶ谷、新川崎などを通って鶴見まで繋がっています。府中本町から南は基本的に貨物列車のみの運行で、一般のお客さんを乗せた定期旅客列車は走っていません。そのため、この府中本町から南は、通称「武蔵野貨物線」などと呼ばれています。

神奈川方面と北関東方面を東京都心を通らずに結ぶ事が出来るバイパスの役目がある武蔵野線は、車で言うと圏央道のような役目を担っており、物流的にとても重要な線路です。ですが、府中本町から南の区間は、丘や住宅地が続くため、ほとんどがトンネルとなっています。ルート的には、東名高速の東京料金所の真下や、武蔵小杉駅の真下なども通るのですが、ほぼトンネルで姿が見えないため、鉄道ファン以外でその存在を知っている人は少なく、地図によっては表示すらされない、まさに秘密の路線となっています。

このような、物流的には重要だけど意外と知られていない秘密の路線。県内にもう一つ、「東海道貨物線」があります。

先程のように、GoogleマップとYahoo!地図で「新保土ヶ谷IC」と入力して、出た地図の縮尺をある程度小さくすると、Yahoo!地図には、インターチェンジの下付近を斜めに鉄道のトンネルが通っているのがわかります。これが東海道貨物線です。

東海道貨物線は、東海道線の旅客列車と貨物列車の走る線路を分ける目的で建設された路線です。小田原から始まり、東戸塚までは旅客線と並行していますが、東戸塚からトンネルに入って別ルートへ突入。上星川や羽沢、岸根公園や妙蓮寺、大口付近を通って鶴見で再び旅客線と並びます。そこからさらに川崎の臨海部へと向かって、最終的には大井埠頭方面まで繋がっています。

このうち、一時的に旅客線と離れる東戸塚〜鶴見間は、地形的に丘が多く、ほとんどがトンネル区間となっています。また、一部トンネルから出る区間もありますが、騒音問題の観点から高架橋に蓋がされています。そのため、こちらも車両が走っている姿を見る機会がないため、ここに貨物列車が通っているという事を知らない人も多いかもしれません。

ちなみに、このトンネル区間のうち、羽沢（羽沢横浜国大）〜鶴見間は、2019年の秋から相鉄・JR直通線が走るようになったため、貨物列車の他に通勤電車が毎日走るようになりました。そのため、基本的に貨物線が表示されないGoogleマップも、この区間は表示されるようになりました。一方、羽沢から東戸塚に関しては、一部特急を除いて基本的には貨物のみとなるので、武蔵野貨物線と同じように、一定の縮尺になると消える秘密の線路となっています。

ご紹介したどちらもトンネル区間が多いので、日の目を見る事はなかなかありませんし、地図によっては表示すらもされない秘密の路線となっています。ですが、実は日本の物流には欠かせないとても大事な路線で、物流を支える「縁の下の力持ち」ではなく「地面の下の力持ち」となっています。ぜひ一度、地図で探してみてくださいね！