あなたの知らない西武線のヒミツ!
鉄道開業の地・横浜から、
今日も鉄分が上がっちゃう話をお届けします!
ワンマン車掌の鉄分乗々↑↑
今日は・・
「あなたの知らない西武線のヒミツ!」
です。
現在、プロ野球はセ・パ交流戦が実施されていますが、横浜DeNAベイスターズは、今日(11日)からはZOZOマリンスタジアムでロッテとの三連戦、そして金曜日(14日)からは、ベルーナドーム(旧・西武ドーム)で西武との三連戦を控えています。
どちらも球場が近いので、県内から応援に行かれる方も多いと思うのですが、この「ベルーナドーム」へ向かうお客さんの輸送方法が、実は鉄道ファン的にはアツいんです!
ベルーナドーム(旧・西武ドーム)は埼玉県所沢市にある球場です。アクセスは、西武池袋線で池袋から西所沢まで行き、そこから西武狭山線に乗り換えて2駅、終点の西武球場前まで向かうというのがメインルートとなります。(他に、西武山口線経由で行くルートもあります)
この西武狭山線は単線で、普段は15分から20分間隔というのどかな路線ですが、野球が開催される日には、ベルーナドームに最大約3万人ものお客さんが集まり、そのうち約6割程度が西武球場前駅を利用します。そのため、当然この本数ではお客さんを捌ききれません。
そこで、西武鉄道では、狭山線や関係する池袋線など多くの路線で、通常の平日ダイヤ・土休日ダイヤのほかに、「平日のナイターゲーム開催時用ダイヤ」、「土休日のデーゲーム開催時用ダイヤ」、「土休日のナイターゲーム開催時用ダイヤ」という、3つの「野球ダイヤ」が存在します。
これらのダイヤは、ホームのLED案内板では時刻や行き先などがきちんと案内されますが、プラットホームや改札口などに掲出されているポスターの時刻表などには書かれていない事がほとんどです。
通常ダイヤに比べてどういった違いがあるかというと、例えば、平日の池袋17:35発は通常ダイヤだと準急・所沢行きですが、ナイターゲーム開催ダイヤだと延長運転して準急・西武球場前行きに変わっています。また、平日の西武球場前21:53発は通常だと各停・西所沢行きですが、ナイターゲーム開催ダイヤは池袋線に直通して各停・保谷行きになるなど、通常のダイヤをベースに延長運転や増発などで、球場アクセスに便利な列車を数多く設定し、球場への行き帰りアクセスを確保しているのです。
さらに、西武鉄道では、これだけではなく、帰りの時間帯に池袋線に直通する臨時の急行や快速など、優等列車の池袋行きを3本~4本運転して、混雑が最も集中する帰りの時間帯の輸送量を確保しています。
ところが、ここで問題が一つ生まれます。野球はコンサートなどのイベントとは違い、その日その日によって試合の終了時間が全く違うのです。せっかく臨時を用意しても、タイミングが合わずにガラガラでは意味がありませんし、逆に試合が終わったからといって、適当に次々と都心方面へ臨時を出してしまえば、あらかじめ緻密に計算された直通先である池袋線のダイヤを乱してしまいます。果たして、どうやってベストタイミングで臨時列車を出しているのでしょうか?
実は、西武鉄道は先ほどの野球ダイヤをさらに細分化し、終了時刻に合わせた的確な時間に臨時・池袋行き直通列車を運転出来るよう、何パターンもの発車パターンを予め想定しておき、現場で試合展開に合わせて毎回使い分けているのです!
この西武球場前駅は、普段は15分〜20分おきにしか列車が来ないにもかかわらず、10両編成対応のホームが1番線から6番線まであり、まるで都心の巨大ターミナル駅のような造りとなっています。そして、野球開催時はこのホームをフル活用し、あらかじめ10両編成の車両を何本も待機させておき、試合展開に合わせて、準備しておいた車両を臨時の池袋行き列車として使っています。
そして、駅長さんは試合展開を見ながら、どのパターンを発動するかを考え、決まりしだい西武鉄道の指令室に連絡をします。基本的には、試合終了時が決断のタイミングですが、大差がついて帰宅者が多い時など、試合展開によっては終了を待たずにパターン発動というケースもあります。そして、その連絡を受けた司令室は、決定したパターンの運行モードへと切り替え、駅のLED案内板などが一斉に変わります。さらに、各駅や乗務員さんへも連絡が飛び、その情報に基づいて各職員の皆さんは動きます。
例えば、6月1日(土)に開催された西武対巨人戦だと、9回表終了の時点で巨人が1点リードの2対3だったので、このまま動きが無ければ、あとアウト3つで試合終了です。しかし、9回裏、西武の攻撃で、なんとツーアウトから蛭間選手のタイムリーヒットが出て同点に!延長戦となれば、見込んでいた試合終了時刻は白紙になってしまいます。ところが、西武の攻撃はさらに続き、元山選手がサヨナラヒットを放ち、なんと逆転サヨナラ勝利で試合終了となりました。
この場合、直前まで延長戦の可能性もあったので、西武鉄道側からすると試合終了時間が全く読めない難しい状況でした。しかし、その後サヨナラで17時14分に試合が終了。すぐさま、駅長さんがパターンを決めて司令所へ連絡。その後、ダイヤは切り替わり、終了2分後の17時16分には、西武球場前駅の電光掲示板に、1本目の臨時列車である「17時25分発 急行・池袋行き」が表示されているという見事な早業でした。
その後、定期列車と臨時列車が交互に大量のお客さんを乗せて西武球場前駅を発車していき、最後の臨時用車両が発車したのが、試合終了から約1時間後となる18時11分発 快速・池袋行き。この頃になると多少の混雑は残っていますが、お客さんのペースもかなり落ち着いています。そして、試合終了から約90分後となる19時前になると、駅前にお客さんはほとんどおらず、いつもの静かな駅に戻っていました。
鉄道は、駅、乗務員、司令室などさまざまな人やシステムが連携して運行しています。そのため、車のように「思いたったら即出発!」という訳にはいかず、本来であれば突発的な事への対応はなかなか難しいものです。ですが、西武鉄道ではベルーナドームでの野球開催のたびに、毎回こういった現場での判断を下しながら臨時の池袋線直通列車を運行し、短時間に集中する帰りのお客さんを安全に運んでいます。
週末に横浜DeNAベイスターズの応援でベルーナドームへ向かう皆さん!試合終了後の西武球場前駅には、きっと急行や快速など臨時の池袋線直通・池袋行きが待っているかと思います。そのタイミングの良さ、実は偶然ではありません。こうやって、さまざまなセクションが迅速に連携して実現した臨時列車なんですよ!気をつけて行ってきてくださいね!
ちなみに・・、お帰りの際は、西武球場前駅の改札口が車両の最後尾側にあるので、前寄りの車両に行けば行くほど空いている可能性が高いです。是非ご参考までに!
というわけで、
今日もご乗車ありがとうございました!
この回の模様は、6月18日(火)の29時まで
radikoの↓タイムフリー↓でお楽しみいただけます!
(コーナーは18:00ジャストの発車です)
次回もお楽しみに!
ひとつ前の記事
「RAINY♪」 #安斉かれん #てくかれ(安斉かれん てくてくかれんだー)ひとつ新しい記事
6月12日(水) ゲスト:折坂悠太(本日のTresen)