鉄道写真、新時代へ!
鉄道開業の地・横浜から、
今日も鉄分が上がっちゃう話をお届けします!
ワンマン車掌の鉄分乗々↑↑
今日は・・
「鉄道写真、新時代へ!」
です。
FMヨコハマのリスナーさんにもファンが多い、相鉄線を運行している相模鉄道が、11月下旬に珍しいイベントを開催しました。その名も、
「楽しく撮り鉄!生成AI で鉄道写真をもっと簡単に!」
というイベントです。
このイベントは、鉄道写真を「生成AI技術」を使って編集するワークショップで、鉄道会社である相模鉄道と、写真・動画・音楽の編集アプリケーションなど様々なソフトウェアを提供しているAdobeがタッグを組み、実現しました。
「鉄道写真」と一言で言っても、その撮り方は千差万別。様々な表現や構図がありますが、やはり人気なのは「編成写真」と呼ばれる、車両編成全体が写っている写真です。
こういった写真は、向かってくる列車を撮るだけなので、場所を問わずどこでも撮れそうと思われがちですが、編成全体を綺麗に撮ろうと思うと、意外と実現可能な場所は少なく、物や植物など何かしらの障害物に被写体を阻まれたりする事が多くあります。注目の列車が走る際、同じスポットにカメラを構えた人が集中しているのは、そういった理由などがあるのです。
ところが、他人とは違う自分だけの撮影地を求めて、一部の撮影者が、危険な位置で撮影を強行したり、許可なく線路沿いの樹木を伐採したり、看板を勝手に移動したりするなど、違法行為や迷惑行為をするケースが各地で相次いでおり、社会問題にもなっています。
そこで、鉄道写真の撮影時に不要と感じる対象物を最新の生成AI技術で編集・削除する体験をする事で、周囲へ迷惑をかけずに安全に楽しく撮影する方法を啓発・提案しようと、このイベントが開催されました。
当日は、相鉄線の星川駅に集合。そこから会場となるかしわ台駅へ移動します。参加者は抽選で選ばれた約30名ほどですが、なんと参加者専用の回送電車が用意され、東急線方面の直通などでも活躍する21000系がホームに滑り込みます。しかも、本来は横浜行きの列車が発着する、上りホーム・4番線からの乗車!通常ダイヤでは体験出来ない、上りホームから海老名方面への出発に、参加者の皆さんも興味津々でした。
また、かしわ台駅までのお楽しみ企画として「車掌アナウンス体験」も開催。抽選で選ばれた5名の参加者が、車内放送用のマイクを使ってマイクアナウンスに挑戦しました。お子さんの可愛らしい声が車内に響いたり、本物のような安定感あるアナウンスに車内がザワついたりするなど、賑やかな移動となりました。
さらに、かしわ台駅到着後は、車両センターでの撮影会も開催。普段は立ち入る事の出来ない車庫の敷地内に入り、ずらっと並ぶ車両たちや、行き先表示がそうにゃんマークになっている12000系、貴重な保存車両なども撮影出来ました。
そして、一連のイベントが終了すると、いよいよ車両センターの会議室を使用しての写真編集タイム!まずは、用意された見本の写真を使って挑戦します。
用意されたのは、横浜駅の写真。終点である横浜駅のホームに停車しようとしている8000系を、車止め側から撮っています。正面に人がいないベストタイミングかと思いきや、乗務員さんがやってきて大きく写り込んでしまいました。もちろん乗務員さんは仕事ですので何も悪くないのですが、せっかくであれば誰もいないホームへ滑り込む構図にしたい!というわけで、この乗務員さんを生成AIの技術で消してみます。
今回使用したのは、Adobeの”Adobe Express”というアプリケーションです。写真を読み込み、「オブジェクトを選択」という機能で、消したい対象物をクレヨンで塗りつぶすように選択して削除ボタンを押すと・・・
なんと、乗務員さんが消えてしまいました!一方で、後ろの柱などは綺麗に再現されています。
続いて、先ほどの撮影会で撮った写真。
車両センターに保存されていた旧型車両・6000系ですが、やはり注目の車両という事で他の参加者さんが写ってしまいました。そこで、今度はまとめて「オブジェクトの削除」の対象として塗りつぶすように選択し、削除ボタンを押すと・・・、
なんと、まとめて消えてしまいました!
これが、生成AI技術の真骨頂。ただ消すだけでなく、自然な背景にすることでほぼ違和感の無い写真を生み出してくれるのです。しかも操作は簡単で、親子で参加している皆さんでも、次々と削除に成功していました。
これまで交わる事の無かった両社のタッグで実現したこのイベント。どうやって実現したのかというと、キーパーソンとなったのがデザイナーの石川祐基さんです。石川さんは鉄道ファンの間では「もじ鉄」として有名で、駅などにある看板や文字を研究されているのですが、今回「自分たちの技術で鉄道撮影の諸問題に対して何か出来る事があるのではないか?」と考えていたAdobeに、橋渡し役として相模鉄道を繋ぎ、このイベントが実現しました。
編集体験教室では、そんな石川さんのデモンストレーションも実施されたのですが、写り込んでしまった人や物の削除を見せてくれるたびに、会場からは驚きの声が上がりました。
この生成AI技術によって「写っている不要なものを加工・削除する」という作業。日頃から鉄道写真撮影を楽しむ人の中には、違和感を覚えるという人も多いと思います。
また、ある記者の方と話をしていたところ、その方曰く「新聞、テレビ、カメラ系のメディアが来ている一方で、今回は鉄道ニュース系のメディアが少ない気がする」と言っていて、鉄道ファン界隈からすると、まだこの技術は「必要のない技術」であったり、「受け入れ難い技術」という認識なのかもしれません。
ただ、Adobeの担当者さんもインタビューで言っていましたが、削除という行為に違和感を覚える事も、こういった編集がこれまでタブーのように扱われていた事も、Adobe側は理解しています。今回のイベントは、それを踏まえた上で一つの手段の提案として開催されました。
今回、編集体験をして思ったのは、この技術が我々鉄道ファンにとって心強い技術である事は間違いないという事です。今はまだ、私たちの人生からすると「後から来た技術」なので、拒否反応も強いかもしれませんが、やがて「当たり前にある技術」となり、未来の鉄道ファンにとっては「生まれた頃からある技術」となり、その頃にはさらに精度や操作性も向上していることでしょう。
現在、顔写真をSNSに投稿する時に日常的に加工アプリを使うのと同じように、鉄道写真においても「何かが映り込んでしまっても編集・削除すれば大丈夫」というのが当たり前な時代は、きっとやってくるのではないでしょうか。
そして、このような技術が存在している事で、無茶な撮影の強行や危険行為が無意味な事になって、結果的に撮影マナー向上に貢献する、という可能性は十分にあると感じました。もちろん、ちょっとした遊び心・アイデアによる新たなアート創作も期待出来そうですよね。
この技術が、鉄道写真撮影における諸問題を全て一気に解決してくれるか?というと、もちろんそういう訳ではありません。しかし、さまざまな可能性を持っている素晴らしい技術です。これから先の技術の発展にも期待したいと思いました。
今まで手を組むチャンスや機会の無かった、鉄道会社とソフトウェア会社による新しいコラボイベント。楽しい企画あり、貴重な体験あり、そして、新時代の訪れを感じる刺激のあるイベントでした!
というわけで、
今日もご乗車ありがとうございました!
この回の模様は、12月17日(火)の29時まで
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コーナーは18:00ジャストから始まってます!
来週もお楽しみに!
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