フォーエバー！ハチゴー！#ワンマン車掌

2023.01.17 - ワンマン車掌の鉄分乗々↑↑

今日も鉄分上がっちゃう話をお届けします！

ワンマン車掌の鉄分乗々↑↑

今日は・・

「フォーエバー！ハチゴー！」

です。

渋谷から中央林間を結ぶ東急田園都市線。ここを走る「ハチゴー」こと「8500系」という車両が、まもなく引退の時を迎えます。この8500系は、田園都市線沿線がまだ開発途上だった頃から走っていた車両で、沿線の発展を見続けてきた、田園都市線の顔とも言える車両でした。

この8500系が誕生したのは1975年。将来予定されていた、地下鉄半蔵門線との直通運転に対応出来る規格の車両として作られました。ステンレスの車体に赤ライン、側面はコルゲートと呼ばれるギザギザな波状の加工となっています。柔らかさや丸みを帯びた車両にはない、堅い印象の車両です。

デビュー当時の田園都市線は、西側はすずかけ台駅まで。一方、東側は二子玉川園（現在の二子玉川）〜渋谷間はまだ建設中で、現在の大井町線を通って大井町までを結ぶ路線として運行していました。そんな路線に、4両編成で投入された8500系。翌年には、鉄道友の会が優れた車両に贈る「ローレル賞」を受賞。東急電鉄として初めての受賞でした。

そして、デビューから2年後の1977年に二子玉川園〜渋谷間が完成し、この区間が東急新玉川線として開業します。さらに、1年後には地下鉄・半蔵門線が部分的に開業。その次の年には、二子玉川園〜大井町間が大井町線として独立する事となり、神奈川県方面から来た列車は、現在のように渋谷・半蔵門線方面へ向かう運転に切り替わりました。

その後も、1984年につきみ野〜中央林間間が開業。路線の発展とともに80年代に入っても8500系の増備は続き、86年には田園都市線・新玉川線を走る全ての8500系が10両編成に。そして、91年に最後の編成がデビュー。約40編成の一大勢力となり、当時、東急で最も多い車両でもありました。

しかし、沿線の発展が著しく、混雑対策で増車・増便をしても追いつかない状態が続き、80年代は混雑率200%超えが当たり前。1990年代も毎年のように190%を超えていました。田園都市線は、日本でも屈指の混雑路線としても有名になり、特に朝ラッシュの混雑は、まさに戦い。車両たちは、来る日も来る日も、雨の日も風の日も、毎朝、毎晩、これ以上もう乗れないというほどの乗客を詰め込んで、通勤ラッシュ輸送を支え続けました。

田園都市線を取り巻く環境はまだまだ変化し続け、2000年には、新玉川線の名称が無くなり、渋谷〜中央林間間が田園都市線に統一。このタイミングで二子玉川園駅は二子玉川駅に変わりました。そして、2003年には半蔵門線が延び、東武線と直通運転を開始。8500系は、この時点でデビューから25年以上経っていましたが、活躍の場が一気に埼玉県まで広がり、「中央林間発南栗橋行き」などの片道2時間を超えるロングラン運用が当たり前となりました。

一方で、この頃から後継車両となる5000系の投入が始まり。8500系はその数を少しずつ減らしていきます。田園都市線を去った車両は、そのまま廃車となったほか、長野電鉄や秩父鉄道などに譲渡された車両もあり、現在も活躍しています。

さらに、2018年には、5000系よりも新型となる2020系の投入が始まり、田園都市線からの引退の流れが一気に加速します。「新型車両が1編成入るたびに、8500系が1編成去る」そんな日々が続き、気付けば約40編成あった8500系は、残りあと2編成に・・。

そして、昨年4月。残り2編成のうち1編成が1ヶ月後に、ラスト1編成は2023年1月をもって引退する事が公式発表されました。唸るような重く低い走行音が特徴で、車両ごとにクセもある昭和の頑固親父のような車両、8500系。48年間、田園都市線の成長を見続け、路線の顔として走り続けた長い旅路は、間も無く終点を迎えます。

なお、最後まで残った青い帯のラスト1編成は、1月で引退する事が発表されていますが、日付は告知されていません。すでに1月も後半に突入し、いつ運用から外れてもおかしくない状況です。ここ最近は、平日の朝や夕方のラッシュに都心方面を1往復だけ担当するという、かなり限定的な登板が続いており、毎日使っている人ですらあまり見る事ができない状態です。そのため、もし8500系に出会えたら、超ラッキー！ぜひ「お疲れ様！」という気持ちで見送ってあげてくださいね！